THINKの森さんにより、MIPCOMのレポートより。
■映像ビジネスの動向、金融危機との関連--国際テレビ番組見本市「MIPCOM」より:コラム - CNET Japan
よく日本では「ワンソース・マルチユース(OSMU)」といわれるが、これは国際的にもよく認知されている展開手法だ。しかし、日本でも混同されることが多いが、1つの映像作品を複数のメディアへ配信することは「マルチプラットフォーム」という戦略を指すことが多かった。たとえば、映画、テレビ(厳密には、地上波、衛星、ケーブルなどへ区分される:衛星やケーブルなどでは、プレミアムなどのランク付けがさらにある)、DVDなどのパッケージなどだ。
その中でも、今回のMIPで大きく取り上げられている話題として、特にネットやモバイルへの展開=「マルチスクリーン」戦略がある。一方、ゲームや小説、あるいは玩具などへ知的財産(IP)をもともとの姿とは異なる形態で展開することをOSMUということが多い。日本の十八番であるアニメは、典型的なOSMUの王様だ(むしろ、OSMUであるがゆえに、そのビジネスが成立しているといってもいいほどだ)。
「マルチプラットフォーム」ではなく「マルチスクリーン」戦略が、コンテンツビジネスの収益拡大に貢献する。これは結果としてオーディエンスの拡大にもつながるので広告リーチの拡大にもつながるのではないか。
今回のMIPでは、ブランデット・エンターテインメントといわれる、マーケティングメッセージを含み、ソーシャルメディアへの掲載とブログなどでの話題づくりを目した短尺映像作品のあり方や、露出先に応じた制作手法やフォーマット変換技法などのセッションが数多く設定され、多数の参加者を集めている。
日本では圧倒的なテレビの存在感の陰に隠れ、ネット上でのブランデット・エンターテインメントはあまり話題にはなっていない。MIPCOMに姿を現した元ディズニーCEOのアイズナー氏は、制作したモバイル向けの映像コンテンツ「PromQueen」が日本でもローカライズされたことを発表。モバイル先進国での体験は非常に有意義であったとコメントを発表し、大きな注目を集めた。
興味深かったのが、広告主の求めるコンテンツを実現するクリエイティビティこそ重要というメッセージだろう。その背景には、ネット広告などで積極的に採用が進む行動ターゲティングなどのテクノロジに過度の期待をしてはいけないという忠告がある。
広告主は、ストーカーのごとくメッセージを出すことを求めているのではなく、ブランディングを適切に露出させ、結果的に購入行動につなげさせることを求めているのであって、洗脳や過度の露出によるブランドへの嫌悪感の醸成などは求めていないのだという、パネリストの発言だった。
アンダーライン下部分、賛成。
ただし、テクノロジーとコンテンツの適度な結婚によるハイブリッド化こそ目指すべき姿。
おそらくだが、テクノロジーは、適切な広告配信、とくトラフィック部分に貢献し、そこを通じて訪れる人に対して適切なメッセージを投げかけるコンテンツがある、ということがもっとも理想的な姿だろう。
テクノロジーであろうと、コンテンツであろう、広告主と消費者との間が relevancy というキーワードで結び付けられることが大事なのだから
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