■メディア・パブ: 米新聞社トリビューンを買収する不動産王,Googleにタダで記事を使わせない構え
メディア・パブより。
えてしてメディア・ビジネス、ライツ・ビジネス、広告ビジネスは、不動産ビジネスと同じといわれることも多い。いい場所を確保し、いい家を建てるのと、これらは似ているから。
トリビューンを買収した不動産王も、きっと不動産ビジネスとメディアビジネスは似ているからと、今回の買収に乗り出したのだろう。
しかし、ネットにおいては、有限の場所、というものが無いし、同様に、そこで公開されたものについて、単独で、その場所だけでしか公開しない、ということは、技術的に可能な手段はあるにせよ、ネットの世界では非常にナンセンスである。
もともと冷戦時代にある場所が核攻撃を受け通信が断絶されたとしても他のラインから情報を届けることができるようにする、というARPAネット=ネットの原型の思想から、「ネット間を結ぶネット」である“インターネット”と成立したこの“メディア”においては、一箇所を封じ込めたとしても再び別のところから新たなものが生まれるのは当然のことだろう。なので、今回のような話はイタチごっこにしかならない。
また、ネット上の情報は常に「いかにうまく見つけられるか findability」というイシューに直面する。見つけられなければその情報は存在しないのと同じ、という話はネットの世界ではよく聞く話。しかしインタラクティブに情報がとれない(=見られてるかどうかを実感的に把握できない)マスメディアの世界では、「見つけられる」ということは根本的にその従事者たちの間では理解できないのも当然のことだろう。また、そもそも見に来てくれる「価値」のあるものだから、という考え方も根深いため、それを「タダ」で使われる、と思ってしまうのだろう。しかしながら、ネット上では使われない・見られない情報こそが「無価値」。なので、検索エンジン他と新聞のようなメディアは相互に提供できるベネフィットがあるはずなのだ(だからこそNYTimes.comのような新聞社もある)。
う~~~ん、なんかちょっとまとまりがないので「つらつら」カテゴリーに。まあ今後もこの手のネタはありそうなので、その都度また書いてきます。
読んで思ったのは不動産とWEBの歴史の違いだと感じました。不動産ビジネスというのはどの土地が高くて、どの土地が低いという価値が決まりきっているものだと思います。
一方WEBは土地が無限大に広がってきていて日々高級住宅地候補が生まれているわけです。候補が高騰するには色んな人に知ってもらわなければならない。
だからコンテンツただ乗り論はナンセンスで、むしろ歓迎したほうがよいのだなぁ、と考えました。
投稿情報: Akifusa | 2007年4 月 9日 (月) 12:14
です。そういうことです。
投稿情報: タカヒロノリヒコ | 2007年4 月 9日 (月) 12:16
全新聞が検索エンジンを締め出せば同じ機能を持つサービスが現れるのことに賛同です。ただ、NYTの道以外に、findabilityを高めつつGoogleからmoneyを引き出すという道も当然あるかと。
いずれにしても買収理由が不動産に似てるというのは短絡がすぎるような。ネット環境では、メディアを空間として押さえることは意味がないと思いますが、1次ソースを押さえるという意味では可能性があるかと。そういう認識での買収とは考えられませんか?
投稿情報: sleepwalker | 2007年4 月 9日 (月) 23:47
Googleからmoneyを引き出すというのはビジネスとして、あまりイイ構想ではないでしょう。むしろビジネス開発上、コストが一番かかりやすい「集客」として使うNYTのほうがよっぽど賢い気がします。また、「新聞=1次ソース」でそれを押さえることで可能性がある、というのは、新聞が=1次ソースとして、オーディエンスにとって価値があり続ける場合です。つまりネットの世界では、新聞というコンテンツの価値でさえ、相対化されてしまうわけで。そういった意味で「メディア空間」的にも「コンテンツライツ」的にも、どちらにおいても不動産的ビジネスは、ネット空間で相対化されてしまいます。ちなみに買収理由が「不動産に似ている」のではなく、「不動産に似ているメディアビジネスを買収」ということです。
投稿情報: タカヒロノリヒコ | 2007年4 月10日 (火) 01:38